生活保護クーラー禁止は事件?

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皆さん、こんにちは。世の中は、格差が広がり、生活保護に関しては、厳しい時代を向かえています。安倍政権は、物価の引き上げ(デフレ脱却)を行って、景気を良くしようとしていますが、生活保護費の引き下げを行っています。ところで、生活保護を受けるとクーラーを持つ事ができないという事で、市役所の人がクーラーを取り外してしまい、最悪の場合、死亡してしまうという事件がおきてしまいました。はたして、クーラーを持っていると生活保護は受けられないのでしょうか。

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生活保護でクーラーを持つ事は事件になるほどいけない事なのか。

生活保護 エアコン 禁止 事件まず、生活保護制度には、資産活用の原則というのがあります。難しい言い回しですが、難しく考えないで下さい。自分が持っている物で、資産価値のあるものは、それを売って、お金にかえて、まずはそのお金で生活して、それでももう資産価値のあるものがなくなってしまい、お金が僅かになったら、生活保護を受けるというのが資産活用の原則です。例えば、極端なはなし、お金は、1万円しか持っていませんが、100坪の土地を持っている場合、まず、土地を売ってお金に換えて、それを使い切ってから生活保護の申請をして下さいというものです。ただ、ここで疑問があると思います。例えば、土地を売るといってもすぐに売れるわけではありません。その場合、1万円では何日も生活できませんので、とりあえず、生活保護は開始して、その代わり、その土地をできるだけ早く売ってもらい、お金が入ったら、それまでにかかった生活保護費を返還してもらうという事になります。このへんの理解がないと変な市役所の職員に当たってしまうとたくさん土地を持っているから生活保護はダメですよみたいな乱暴な事を言われてすごすご帰るはめになってしまいます。

ただ、いくら資産活用の原則といっても、生活必需品は保有が認められています。さて、ここで問題になるのがクーラーです。ある市で、クーラーはぜいたく品だという判断をして、市役所の職員が取り外すという判断をしました。その結果、その生活保護を受けている人は、熱中症で大変な事になってしまいました。まさに事件です。この事が議会でも取り上げられて大事件になりました。そして、当時、厚生省は、一般世帯の7割の世帯が保有している資産は、生活保護世帯についても保有を認めるという判断をしました。そのため、クーラーの保有も認められるようになりました。確かに真夏の暑い日は、クーラーなしだと熱中症になり、体力を奪ってしまい、病気が悪化してしまい、入院してしまう可能性があります。もともと、生活保護を受けている人は、病気の人が多いので、クーラーは生活必需品といってもいいでしょう。ただ、実際には、電気代を節約するためにあまりつけないケースもあるようです。

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最近では、生活保護を受けている人がクーラーを持つ事を禁止するどころか、クーラーを持っていない世帯にクーラーの購入資金を貸し付ける制度があります。もっとも、最近のアパートはクーラーというよりは、冷暖房気が備え付けになっている物件も多いようです。また、熱中症講座を行ったり、市役所の職員が訪問や電話で生活保護受給者が熱中症になっていないか確認するようです。今では、生活保護を受けている人がクーラーを持つ事は事件でもなんでもありません。

生活保護でクーラーはあるけど、電気代を節約して熱中症になるほうが事件ではないか?

現在において、生活保護世帯がクーラーを持つ事は、全く問題ありませんが、事件なのは、クーラーを使うと電気代がかかるので、それが気にかかり節約してしまうために、熱中症になってしまう事です。今、生活保護費は少しづつ、毎年減らされています。そのため、生活保護世帯は、節約を求められます。ちなみに冬は冬季加算というのがあり、冬の暖房費については少し生活保護費が上乗せされるので、助かります。しかし、夏は特に何もありません。クーラーについては貸付制度がありますが、それに伴う電気代については何もありません。それこそ、クーラーはあるけど、電気代を節約したために、熱中症で救急車で運ばれるという事件がおきないとも限りありません。最悪、生活保護世帯は、高齢の単身世帯が多いですから、介護保険制度を使ってヘルパーさんが入っているのならともかく、何も使っていなければ、死亡事件にならないとも限りません。

現在は、温暖化で地球上が暑くなっています。というより異常気象が続いています。クーラーの保有を事件にしている場合ではありません。それよりも異常気象への対策を考えなくてはなりません。クーラーがあっても電気代を気にして使用できないのでは保有を認めた意味がありません。そのために熱中症になったり、死亡してしまったら、それこそ事件です。しかし、現在は何も対策はうたれていません。熱中症講座は行われていますが、猛暑の日の場合、熱中症講座に行く間に熱中症にやられてしまうという笑えない事件になる可能性があります。ぜいたく品うんぬんの前に人の命を守る事を考えるべきです。

生活保護の資産活用の原則は、クーラーの事件とは関係ないものです。

生活保護では、最低生活の内容としてその保有又は利用を認めるに適しない資産は、原則として処分のうえ、最低限度の生活を保つために活用させることとなっています。ただし、処分するよりも保有しているほうが生活維持及び自立の助長に実効があがっているものは処分する必要はありません。つまり、その観点から言えば、クーラーは保有が可能という事です。だから、市役所の職員がクーラーをぜいたく品だから取り外すなどというのは、事件なのです。

資産の活用については、いろいろ細かく決まっています。例えば、土地・家屋についても居住用であれば、一定の条件を満たせば保有を認められます。また、高齢者の場合、その不動産を担保にして社会福祉協議会から貸付を受ける事になります(固定資産評価額が一定金額以上という条件があります) 保険については、解約返戻金があるものは、原則、解約ですが、場合によっては、解約しなくて言い場合もあります。例えば、学資保険で、満期保険金の使途が世帯内の子の就学に要する費用にあてる事を目的としたものであり、解約返戻金の額が50万円以下であれば、保有を認められます。また、早く生活保護からの自立が見込まれる場合は、通常なら保有が認められない保険でも保有が認められるケースがあります。このように資産活用の原則は、単純なものではありません。

あくまでも、生活保護制度は、生活に困窮した人を救う制度です。その制度の趣旨をはきちがえるととんでもない事になり、クーラーを取り外すなどというわけの分からない判断になってしまい、最終的には事件になってしまうのです。クーラー事件に限らず、生活保護制度の実施において、市役所がおかしな判断をする事はたびたびあります。

市役所の判断がおかしい時は、行政不服審査法に基づいて上級官庁に審査請求というのができます。そこで、審査請求が認められれば、市役所の判断は改められますが、上級官庁は、しょせん、役所なので、市役所有利の判断をする可能性があります。その場合は、行政訴訟という方法があります。しかし、いちいちそんな事はやってられません。やはり、生活保護制度におけるきちんとした知識を身につけることが自分の命を守り、生き延びていく最善の方法です。はっきり言って、事件ですといっても市役所の人は救ってくれません。

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