生活保護受給者の相続人が相続放棄を家庭裁判所に申し立てたほうがいい場合とは

皆さん、こんにちは。生活保護の制度はいろいろありますが、なかなか専門家がいないせいか、きちんとした知識を身につけるのは、結構、やっかいです。今回は、生活保護を受けている人のためというよりは、生活保護受給者の扶養義務者(親や子供、兄弟姉妹といった親族)のための話です。生活保護受給者の相続人が相続放棄を家庭裁判所に申し立てたほうがいいというよりも必要がある場合とはどんな時でしょうか。

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生活保護で家庭裁判所に相続放棄をする必要があるときとはどんな時?

生活保護 裁判生活保護で、相続放棄なんて、なんかピンときませんね。生活保護受給者に財産などあるはずがないのだから、相続なんて関係ないと思っているかもしれませんが、これはとんでもない認識不足です。きちんとしておかないと、後で多額の負債を背負わされる事もあります。それってどんな時と思うかもしれませんが、生活保護では、ありえるこわい話なのです。さて、どんな時でしょうか。

例えば、ある生活保護受給者が不正受給をしたとします。100万円の不正受給をしたとします。当然、その生活保護受給者は、不正受給をした100万円を市役所に返さなくてはいけません。しかし、たいてい、不正受給したお金は使ってしまう事が多くて、結局、分割で返す事になります。そして、毎月1万円づつ返す事になったとします。ところが、20万円を返し終わったところで、その人が亡くなったとします。さて、残りの返さなくてはいけない80万円のお金はどうなるのでしょうか。

まず、生活保護の受給権は、一身専属権といって、相続の対象にはなりません。こういう判決が裁判所ででています。この判決をみると、生活保護に関連したお金は、相続とは関係ないんだと思ってしまいますが、そうではありません。先程の例の80万円は相続放棄をしない限り、相続人に負債として相続されます。えーと思うかもしれませんが、それが、厚生労働省の判断なのです。だから、被相続人である生活保護受給者が死亡したら、すぐに、相続放棄の申し立てを家庭裁判所にする必要があります。相続放棄の申し立てを家庭裁判所にしないと、死亡した生活保護受給者が不正受給をして、返さなくてはいけないお金が残っている場合は、相続人が負債として相続することになります。昔は、このへんが市役所が結構、適当で放置していた面があったのですが、最近は、結構、シビアに相続人に納付書を送ったりして、返させようとしています。しかし、不思議な話です。生活保護を受けるときは、扶養義務というものが一応ありましたが、基本的に任意で、強制されないものです。しかし、生活保護受給者が不正受給で作ってしまった市役所に返さなくてはいけないお金が死亡してしまった場合、負債として相続人が相続しなくてはいけないなんて想像できますか。だから、このような場合は、相続放棄を家庭裁判所に申し立てればいいのだと市役所はいいますが、一般の人はそんな事はわからないでしょう。しかも、この生活保護で発生した負債を相続するパターンは、不正受給に限りません。例としては、市役所が生活保護受給者に多く支給しすぎた分を分割で返済させている途中で、生活保護受給者が死亡してしまった場合も残った返済すべきお金について負債として相続人が相続する事になります。

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生活保護では、相続放棄を家庭裁判所に申し立てる事を頭におきましょう。

生活保護受給者の返さなくてはいけないお金が死亡により、負債として残ってしまった時は、相続人が相続しなくてはいけない事はわかったと思います。しかし、これには問題があります。そもそも、死亡した生活保護受給者に生活保護に関する負債があるかどうか相続人が分からないケースがかなりあるからです。市役所はきちんと生活保護受給者の相続人が誰なのかきちんと把握していないケースが多く、そのため、本来、相続人につたえなくてはいけない生活保護に関する負債について、何も伝えないケースはかなりあります。市役所の怠慢といえば、それまでですが、そもそも、相続人を把握して、その事をきちんと伝えることなど現実的にできる事ではありません。当然、被相続人である生活保護受給者の生活保護に関する負債について、知らなければ、相続人は相続放棄を家庭裁判所に申し立てのしようがありません。

それなのに、後になって、負債がありますと市役所から請求が来ても、困ってしまいます。逆に相続人が市役所の怠慢をせめるのも一つの手かもしれません。そうすれば、市役所の事ですから、ことなかれ主義なので、少しづつでもいいからお願いしますと意味不明に低姿勢でくるか、連絡がつかない事にしてごまかしてしまう可能性があります。ただ、最近は、市役所の債権管理がうるさくいわれているので、生活保護の負債についても無視はできなくなっています。保守系の実務を知らない中途半端な知識を持っている市議会議員が議会で生活保護の債権管理の質問をする傾向も見られます。しかし、相続人にとっては、酷なはなしでしょう。知らされていない借金を背負うようなものです。しかも、不正受給ならまだしも、市役所の間違いで過支給したしまった生活保護費の返済の負債も背負わされるのはたまったものではないでしょう。厚生労働省は、生活保護において発生した返還しなくてはいけない負債について、相続人に相続されるのは当然としていますが、きちんと生活保護受給者の死亡後に、生活保護における負債がある旨を伝えていない現状では無理があるといわざるをえません。

生活保護を受けている被相続人がいる場合は常に相続放棄の家庭裁判所への申し立てを念頭に

また、問題なのは、果たして、相続人に死亡した生活保護受給者の負債を返済させているのかという事です。これは、どういう事でしょうか。市役所は連絡がつきやすい親族に返済させる傾向があります。おそらく、きちんと戸籍をとって、誰が相続人か確認しては行っていないでしょう。また、死亡した生活保護受給者に子供及び親がいない場合、兄弟姉妹が相続する事になります。おそらく、市役所は兄弟姉妹について、きちんと調査せず、連絡がとれる親族にのみ返済させている可能性があります。そうなるとこれはとんでもない不公平な話になります。だから、もともと死亡した生活保護受給者の負債を相続人に払わせるなど無理すじのはなしなのです。

しかし、そうはいっても、誰も守ってはくれません。だから、常に相続人になりそうな状況ならば、きちんと生活保護受給者の状況を把握しておけば、相続放棄を家庭裁判所に申し出る事ができます。相続放棄をしてしまえば、市役所は、何もいってきません。ただ、逆に死亡した生活保護受給者が持ち家をもっていたり、あるいは、多額の貯金(あくまでも生活保護費でたまったお金の場合です)がある場合は、相続したほうがよくなります。よく生活保護費でたまったお金は、市役所に返還しなくてはいけないと思っている人がいるようですが、それは違います。負債が相続されるのですから、当然、資産も相続の対象になります。ただ、ほとんどのパターンは、負債のほうが圧倒的に多いでしょう。

まとめ

生活保護受給者が被相続人である場合は、生活保護で発生した返還しなくてはいけないお金について相続されるという事が理解できたとおもいます。そのため、相続に関して、相続放棄を家庭裁判所に申し出る事が重要です。なお、何かご不明な点があれば、コメントをお願いいたします。

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8 Replies to “生活保護受給者の相続人が相続放棄を家庭裁判所に申し立てたほうがいい場合とは”

  1. 生活保護受給者の母がまもなく末期がんで亡くなりそうです。部屋の整理をしていたら、消費者金融から借金があることがわかりました。どうやって、いつ借りたのかもわかりません。母と会話したくても、意識がなくできません。この場合も死後の存続放棄は可能でしょうか?

    1. 死後、3ヶ月以内であれば、相続放棄ができます。また、消費者金融会社にお母さんが生活保護を受けている証明書を送るのも方法です。大手の消費者金融であれば、生活保護を受けていることがわかれば、返済を迫らないケースもあります。あとは、自己破産(お母さんの)の手続きをする方法です。法テラスという組織に相談すれば、方法を教えてくれると思いますが、金額によっては、お金がかかってしまい、損をする可能性があります。何かご不明な点があれば、コメントをください。

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